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Tokyo Statement - Japanese version

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東京声明2023「壊滅的災害に対してレジリエントで持続可能な社会への変革」 はじめに 持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議2023「壊滅的災害に対してレジリエントで持続可能な社会への変革」が2023年9月7-8日にハイブリッドで開催され、日本学術会 議講堂にて81名、ならびにオンラインにて419名が、12か国および地域から参加した。本会 議では、関東大震災100周年に当たり、2つの目標が設定された。 第一は、震災後の100年間に我が国が経験し学んできたこと、ならびに巨大地震や津波、巨大サイクロン等で壊滅的被害を受けた国や地域が経験したことを振り返り、広く共有し、国際協力の糧とすることである。 第二は、国のあり方に大きな変化を与えるような壊滅的災害が生じても、それを乗り越え、より良く復興できる社会へと変容できる力を社会全体で蓄える方策を提示することである。 テーマ1:壊滅的災害の経験と変革 壊滅的災害は、発生頻度は低いものの、発生すると、被災国、被災地域に壊滅的被害をもたらす。1923年の関東大震災、1948年のアシガバード地震災害、1970年のバングラデシュ巨大ハリケーン災害の経験を通して、参加者が得た認識は下記の通りである。 1-1関東大震災とそこからの復興 1868年の明治維新後の近代日本の壊滅的災害であった関東大震災を事例に、その実態を示し、それへの対応策としての復興過程を明らかにした。当時の事実や考え方を語り継ぐため、英文で書かれた歴史資料を参照して、それらが何を海外に発信しようとしたのか考察した。その後、第二次世界大戦にて、首都東京はさらに壊滅的な被害を受けたが、高度経済成長に伴い復興が進んだ。当時から現代に至るまでの100年間の我が国の防災政策が包括的にレビューされた。この間の復興及び開発は、経済成長を追求するあまり、当初の耐震性・耐火性や総合的な都市計画、首都の品格を犠牲にしてきた側面もある。戦後、多様なハザードに備える我が国の防災政策は充実してきたが、今後はレジリエントで持続可能な未来に向けてガバナンスと投資の方法をさらに洗練していく必要がある。 1-2壊滅的災害と国際協力 壊滅的災害は個々の国から見れば、そう頻繁に起こるものではない。そのため、壊滅的災害が起こると、たいてい「想定外で未曽有」であったと主張される。しかし、人類の歴史を振り返れば、このような災害は地球上で時折起こるものであり、そしてその後、人々がより良い復興(BuildBackBetter)を成し遂げてきたことがわかる。最新の科学によって、どの地域に災害リスクがあるかはわかってきた。その地域で想定される災害シナリオに合致した対応計画を準備しておくことは効果的である。当該地域の様々な組織の災害リスクへの備えや必要な人材について体制面に焦点を当てたアセスメントを事前に実施しておくことが、良い準備となるだろう。各国が壊滅的災害の経験を共有し、学び、手を携えて将来の災害に備え、克服することで、大惨事の可能性を減らす必要がある。この分野の国際協力は不可欠である。災害への準備に早すぎるということはない。 テーマ2:壊滅的災害を乗り越える道筋 科学の進歩とともに、壊滅的災害の将来推定が社会と共有されるようになった。それでも、壊滅的災害による被害を完全に抑止することは不可能である。社会がとるべき変革の方向性と、その実現に向けた科学技術の役割について、参加者は下記を強調した。 2-1将来推定が示す壊滅的災害 科学技術の進歩によって、過去に発生した地震・津波・極端気象などのハザードを物理的に解析し、将来発生するハザードと、それに伴う被害の推定も可能になってきた。ただ、超巨大地震や気候変動など、これまでに経験したことのないハザードの推定には不確定性が伴い、リスク推定にも誤差があることを認識する必要がある。また、そのような不確定性について、科学者が社会と議論し、リスク軽減技術を共有していく必要がある。 公的な投資には限界があるので、民間投資を活性化する必要がある。そのために、日本では、民間セクターがしっかりした事業継続計画を含めた災害リスクの軽減への投資を増やすことに対して、貸付金利の引き下げなどの財務メカニズムを利用した方策を実行している。災害リスク軽減のための国家的プラットフォームにおいて、政策立案過程における科学者の貢献が鍵である。耐震基準や改修基準など、科学技術に裏打ちされた法律や制度は政府による災害リスク軽減の有効なツールである。しかしながら、これらの基準は現実には民間セクターによって使用されるものである。個人や組織で対処できる対策としては、保険・債券・ローン・小口融資や、これらの組み合わせによって残りのリスクをカバーすることができる。 2-2壊滅的災害を乗り越える社会への変革―何を守り、どのように復旧・復興するか― 現在や未来の課題の状況は、効果的な災害リスクマネジメントを可能にし、誰一人取り残さないようにするために、インフラ、スマート都市開発などの都市整備、ガバナンス、リーダーシップ、調整メカニズム、デジタルトランスフォーメーション(DX)など社会基盤への一層の投資が緊急の課題であることを示している。社会的不平等、気候変動、その他の課題に対して、リスクの決定要因を是正し事前の予防的行動を促進するためには、地域社会、政府、学界、産業界、市民社会による積極的で共同的な行動が必要である。このような相互依存関係こそが、構造的で連鎖的なリスクを管理する社会の能力の基礎であり、防護的な保健、教育、その他システムを通じて、コミュニティのレジリエンス(回復力)を高め、ウェルビーイングを向上させる。そのために、国家的な努力によって、革新的な技術を活用する能力を開発するための様々な階層での統治戦略を有する社会への変革を目指すことが肝要である。さらに、災害には国境がないため、国を越えたレジリエンスと学習を促進することが重要である。 2-3社会変革を支える科学技術 まだ不確実性が高いとはいえ、今後起こるであろう壊滅的災害は、社会に非常に大きな影響を与えることが懸念される。科学の知と地域に根差す知見を統合化して、起こりうる社会的影響を共有し、どのような社会的課題が生起するかを明らかにし、ステークホルダーによる対応方法を示唆することは、科学技術の世界的な課題である。ここにおいて、情報通信技術(ICT)が鍵となる。特に、デジタル・ツイン技術による情報空間は、実際の壊滅的災害の場合に起こるであろうことを表現することができる。官民連携を強化しつつ、国境を越えた連携を可能とするには、情報インフラの最大限の活用が重要である。このために、壊滅的災害を克服するための社会変革を促す地理空間技術に基づいた情報サプライチェーンの構築が求められる。 2-4若手・中堅研究者からの声 レジリエンスにおける変革能力は、災害リスク軽減に関わる学術研究コミュニティにとって重 要な概念であるが、その構造や機能はまだ十分に解明されていない。レジリエンス能力のメカニズム、とりわけどのように、どのような条件下で社会変革を促進できるのかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。例えば、防災への投資が社会の復興・変革能力を低下させるというジレンマを解決する必要がある。また、社会変革を促進しつつ、危険にさらされている人々の強制移住など、それによって引き起こされる負の影響を緩和するガバナンスシステムに関する研究も必要である。将来の災害リスク軽減のための投資を通じた事前の社会変革についても検討すべきである。加えて、災害リスク下でのウェルビーイングの条件について明らかにすることも、より良い変革のために必要である。 提言「残された時間で何をすべきか」 日本政府が想定するスケールの壊滅的災害を乗り越えるだけのレジリエンスを獲得するためには、あらゆる主体が被害抑止力を高める努力を継続することに加えて、どのように災害対応、復旧・復興を進めるかについての科学的検討と実践に注力すべきである。日本学術会議は、2023年8月29日に、提言「壊滅的災害を乗り越えるためのレジリエンス確保のあり方」を発出している。私たちは、「仙台防災枠組2015-2030」の4つの優先行動に即してこの提言にまとめられた方策にすべて同意する。 (1)災害リスクについての理解の深化と展開 ・個人の心身両面でのウェルビーイング(Well-being)の維持・向上、コミュニティにおける相互扶助力、そして災害リスク低減・気候変動適応・持続可能な開発の統合的な実現を究極の目的として、社会の災害レジリエンス向上と持続可能性向上に関わる科学技術を展開すべき。 ・オールハザードアプローチにもとづいて予測力・予防力、応急対応力、復旧・復興力のすべてを対象とした総合知を構築し、その実践・継承を図るべき。 ・日本学術会議第24期で提言された「知の統合を実践するためのオンライン・システムの構築とファシリテータの育成」を社会に普及させるしかけを構築すべき。 (2)災害に対処する新しいガバナンスの確立 ・パンデミックが生み出した不可逆的な変化を踏まえて自律分散協調社会への移行に資するガバナンスを確立すべき。 ・国土、国家、国民のレジリエンスの向上に加え、複数の国が協力し合う国を超えたレジリエンス(Transnationalresilience)を確立すべき。 ・壊滅的災害に関するリスクコミュニケーションの活性化を、日本学術会議での議論も含めて国民的、世界的な議論として喚起すべき。 (3)災害に対する財政支出・人材育成・技術開発投資の確実な実行 ・災害に曝露される危険性を持つ人間活動・資産蓄積(Exposure)を減少させる投資の役割(中長期的な空間再編計画、重要社会基盤の機能維持等)を確立すべき。 ・①自助能力の向上を図るための市場サービスの質的・量的充実につながる投資、②制度に基づく相互扶助としての保険・共済プログラムの充実・多様化、について集中的に投資すべき。 ・個人のレジリエンス能力を高めるとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を活 用しながら、少数精鋭でより効率的・効果的に災害を乗り越えられるような戦略的な人材育成をすべき。 (4)より良い復興(BuildBackBetter)を可能にするための事前方策の確立 ・「いざという時、普段やっていることしかできない」という意識をもって、DXを活用した事前対策を進めて、災害後に新しい社会を構築していく能力(Transformativecapacity)の確保体制と向上方策について確立すべき。 ・壊滅的災害後の社会像(持続可能性、グリーンエネルギー・ゼロカーボン、国土計画、財政・経済、産業、国際協力などでの自律分散協調社会への移行等)を提示し、それに沿った復興ビジョンを事前に構築・明確化するよう努力すべき。