世界のCCS(炭素回収貯留)の動向:2014 サマリーレポート
2014年10月、カナダ、サスカチュワン州のBoundary Dam(バウンダリーダム)発電所で世界初の大規模なCCSプロジェクトが操業開始した。同年、ミシシッピ州のKemper County Energy Facility(ケンパーカウンティエネルギーファシリプロジェクト)と、テキサス州のPetra Nova Carbon Capture Project(ペトラノバ炭素回収プロジェクト)も操業に入ることが予定されている。またアラブ首長国連邦(UAE)のAbu Dhabi CCS Project(アブダビCCSプロジェクト)も建設作業が進められている。これらの4件のプロジェクトは、世界で操業または建設中の22の大規模CCSプロジェクトの一部である。これらの大規模CCSプロジェクトが実現した今、同技術の展開における重大なマイルストーンが達成された。すなわち、気候変動の緩和に対する最小コストアプローチの一環として、いかにCCSを最適な形で展開できるかについての議論に移行する時期に入ったのである。14の大規模CCSプロジェクトが計画策定の進んだ状態にある。このように、CCSの技術的成熟度への信頼性が増すのは当然であるが、加えて幅広い業種、貯留の種類、燃料、および技術サプライヤーにまたがる、2020年頃に稼働しているであろう大規模CCSプロジェクトの「ポテンシャル・ポートフォリオ」の策定も可能となる。これらの計画が進んだプロジェクトの実現(および計画の早期の段階にあるプロジェクトのそれ)を後押しするための行動が、今これらの大規模CCSプロジェクトに関するデータから、政策決定者の関心を高める必要のある2つの領域が浮き彫りになった。すなわち非OECD経済圏(中国以外)におけるプロジェクトの不在と、セメント、鉄鋼、化学などの炭素集約産業におけるCCS技術開発の進展の